実家を片付けていたら仏壇の奥から位牌が出てきた。継ぐ人がいないので手放したいけれど、ごみとして出してよいのか分からない。そんなお悩みは少なくありません。
位牌の処分は、お寺で閉眼供養をしてもらい、お焚き上げをするのが一般的な流れとされています。この記事では、位牌の処分が必要になる場面、手順、費用の目安、依頼先ごとの違いと注意点を整理します。
位牌を処分する場面と、先に考えたいこと
ミツモアの解説(日本葬祭アカデミー教務研究室の監修)では、位牌は故人の霊が宿る依代とされ、故人そのものの象徴と説明されています。処分が必要になる主な場面は、次のとおりです。
- 白木位牌(四十九日までの仮の位牌)を本位牌へ替えたとき
- 位牌が傷んだ、作り替えが必要になったとき
- 位牌が増えて、まとめたいとき
- 位牌を継ぐ人がいなくなったとき
処分の前に、手放す以外の選択肢も検討できます。Treeの解説では、位牌だけを残して小型のミニ仏壇に移す方法や、寺院に永代供養として預ける方法、位牌が増えすぎた場合に複数の札板を収められる繰り出し位牌(回出位牌)へまとめる方法が挙げられています。ミツモアの監修者コメントでは、13〜17回忌以降に夫婦連名の位牌にしたり、「○○家累代霊位」として1つにまとめたりすることもあるとされています。
ちなみに、ミツモアの解説では、位牌には白木位牌と本位牌があり、本位牌には塗位牌、唐木位牌、回出位牌などの種類があるとされています。作り替えやまとめ直しを選ぶ場合の購入費用は、塗位牌で合成漆が約1万円、本漆で2万〜5万円、唐木位牌で2万〜5万円、回出位牌で2万〜10万円が目安と記載されています。処分と新調を並べて考えるときの判断材料になります。
親族の気持ちも確認しておくと、後で行き違いになりません。位牌は一度手放すと戻せないため、先に家族で話し合ってください。
位牌の処分の流れ
一般的な流れは、次の三段階です。
- 閉眼供養(魂抜き・お性根抜き): 僧侶に読経してもらい、位牌に宿るとされる魂を抜く
- お焚き上げ: 魂を抜いた位牌を焼却して供養する
- 処分の完了: 寺院や業者が引き取る、または供養を済ませた上で自治体のごみとして出す
Treeの解説では、位牌のお焚き上げは仏壇の閉眼供養と同時に行うのが一般的とされています。浄土真宗では、魂を抜くという考え方をとらず、位牌も用いないため、供養の方法が異なります。本願寺派は「遷仏法要」、大谷派は「遷座法要」と呼ばれるとされています。宗派が分からない場合は、先に菩提寺か家族に確認してください。
白木位牌は、四十九日法要のあとにお焚き上げで処分されるのが一般的だと、ミツモアの解説に記されています。
位牌の処分にかかる費用
位牌だけの処分費用をまとめた公的な料金表は、確認できませんでした。公開されている情報のうち、確認できた範囲を整理します。
閉眼供養のお布施
Treeの解説では、閉眼供養のお布施は通常3〜10万円とされ、依頼先ごとの目安は次のとおりです。仏壇の閉眼供養を想定した金額で、位牌単独の金額ではない点に注意してください。
| 依頼先 | お布施の目安(Tree記載) |
|---|---|
| 菩提寺に直接依頼 | 1万〜5万円 |
| お坊さん手配サービス | 3万5千円(定額) |
| 仏壇処分業者経由の僧侶手配 | 2万〜3万5千円 |
お車代や御膳料を、それぞれ5,000円〜1万円ほど追加で包むこともあるとされています。
お焚き上げの公表料金
寺院が公表している位牌のお焚き上げ料金で、広く通用する金額は確認できませんでした。確認できた一例として、くらしのマーケットに掲載されている横浜観寧寺のページには、お焚き上げが別途「1柱2,000円」と記載されています(2026年10月確認)。同ページの閉眼供養(魂抜き)は「料金お問合せください」とされ、金額は公表されていません。
Treeの解説では、菩提寺に仏壇ごと引き取ってもらう場合は、お布施として3〜5万円が目安とされています。菩提寺によって、お焚き上げの扱いやお布施の考え方が異なります。
依頼先ごとの違い
菩提寺に頼む
いちばん確実なのは、付き合いのある菩提寺に相談する方法です。閉眼供養からお焚き上げまで、一括で依頼できます。金額は「お布施」として納めるため、事前に「位牌の閉眼供養とお焚き上げはおいくらでしょうか」と、率直に尋ねて問題ありません。仏壇も処分する場合の費用は、仏壇の処分費用を比較した記事で整理しています。
菩提寺がない場合
Treeの解説では、菩提寺がない場合の依頼先として、仏壇仏具店や葬儀社の紹介、オンラインの僧侶派遣サービスが挙げられています。お焚き上げを郵送で受け付ける事業者もあります。詳しくはお焚き上げを郵送で依頼する方法の記事にまとめています。
遺品整理業者に頼む
ミツモアの解説では、遺品整理業者が位牌を引き取る場合、手間は少なくなる一方で、回収した位牌を不法投棄する悪質な業者もあるため、「供養証明書」を発行するかを確認し、複数の業者から見積もりを取るよう注意が促されています。
また、愛媛県の消費生活センターの資料では、一般家庭から出る廃棄物の収集運搬には「一般廃棄物処理業の許可」または市区町村からの委託が必要で、無許可業者とのトラブルが目立つと注意が呼びかけられています。国民生活センターも不用品回収サービスの相談の増加を公表しています。依頼前に、一般廃棄物収集運搬業の許可を確認してください。
自治体のごみとして出す場合
一番費用を抑えられる方法として、自治体の粗大ごみ・可燃ごみに出す方法があります。Treeの解説は、処分前に閉眼供養を行うことを勧めています。位牌の分別区分は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の清掃担当窓口で確認してください。
よくある質問
閉眼供養をしないで処分してもよいですか?
法律上の決まりがあるわけではありませんが、一般的には閉眼供養を行ってから処分するとされています。気持ちの区切りとして、家族が納得できる方法を選ぶことが大切です。
浄土真宗の場合も位牌の処分はできますか?
浄土真宗は位牌を用いない教えのため、考え方が異なります。お持ちの位牌の扱いは、所属する寺院に確認してください。
お焚き上げは自宅の庭で自分でしてもよいですか?
自宅での焼却は、周囲への影響や自治体の決まりがあるため、おすすめできません。供養と処分は、寺院や、供養証明書を発行する事業者に任せるのが安心です。
本記事に記載の費用は、2026年10月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、実際の金額は事業者・寺院・自治体によって異なります。個別の法律判断や税務判断が必要な場合は、自治体の窓口や弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。