一周忌を家族だけで行いたい、あるいは法要そのものをしない形にしたいという方に向けて整理しました。一周忌は家族だけでも営めます。規模に決まりはなく、法要を省くこと自体にも法的な問題はないとされています。ただし菩提寺がある場合は、決めてから知らせるのではなく、決める前に住職へ相談するのが落ち着いた進め方です。伝える順番、お布施の目安、散骨や樹木葬にした方の一周忌の形を順に説明します。

一周忌を家族だけで行っても問題ありませんか

問題ありません。HOME ALSOK研究所の解説では、家族のみでも一周忌法要は行え、規模は家族の考え方次第とされています。遠方の親戚との日程調整が難しい、費用を抑えたいといった理由で選ばれることが増えているそうです。

行政書士法人Treeの年忌法要の解説も、一周忌・三回忌は親族に加えて、近年は家族のみで行う例が増えていると書いています。

家族だけで行う三つの形

形場所僧侶向いている家族
寺院・墓前での法要菩提寺や墓前読経を依頼菩提寺があり、納骨先も同じ
自宅での法要自宅の仏壇や位牌の前読経を依頼(お車代が加わる)移動を減らしたい高齢の家族がいる
会食のみ・手を合わせる自宅や飲食店依頼しない形にこだわらず、命日に集まりたい

三つの形は、実務上の整理です。進行は通常の一周忌と同じで、僧侶の読経、焼香、法話、墓参りが含まれると、ALSOKは案内しています。

寺院以外で行うと、僧侶にお車代を渡します。寺院併設の会場で僧侶の移動がなければ、不要とされることが一般的です。地域や寺院で異なるため、事前に確認してください。

僧侶を呼ばない形に、公的な決まりはありません。菩提寺との関係で受け止め方が変わるため、次の見出しの順番で進めてください。

家族だけの一周忌は、いつ・誰に知らせて行えばよいですか

日程は、命日当日が望ましいとされています。参列者が集まりやすいよう、命日の直前の土曜日や日曜日に行う例も珍しくありません。命日を過ぎてから行うのは避けたほうがよいと、ALSOKは説明しています。

日程は、お寺と僧侶の都合を先に確かめて決めます。

案内の範囲は家族で話し合って決める

施主の家族だけにするか、近しい親族も呼ぶかは、家族で話し合って決めます。案内状は出欠を確認できる往復はがきが通常です。近しい人だけなら、電話やメールでも構いません。

葬儀に参列した親族や知人を招かない場合は、事前に伝えておきます。ALSOKは「家族のみで静かに営む意向をあらかじめ伝える」ことを勧めています。初めての年忌は広く声をかけるものという考え方も残っているためです。

法要のあとは、挨拶状を送ります。事前にお供え物や線香をもらった方には、挨拶状の代わりにお礼状を送るのがマナーとされています。

法要を省くとき、菩提寺にはどの順番で伝えればよいですか

法要を省くこと自体に法的な問題はないと、Treeは説明しています。そのうえで、菩提寺との関係と親族の気持ちに配慮するのが一般的だとしています。

次の順番で進めると、行き違いが起きにくくなります。順番は実務上の助言で、公式な決まりではありません。

  1. 家族の中で、家族だけの法要にするか、読経だけ頼むか、法要を控えるかを話し合う
  2. 近しい親族に、考えを軽く伝えて反応を見る
  3. 決定の前に、菩提寺の住職へ電話で相談する
  4. 日程、お布施、お車代を住職と確認する
  5. 決まった内容を、親族に知らせる

3番の相談では、結論より先に事情を話します。たとえば「今年は家族だけで一周忌を営みたいのですが、読経をお願いできますか」と切り出す形です。法要を控えたい場合も、「今回は家族で墓参りだけにしたいと考えています」と、理由を添えて相談してください。

菩提寺にお墓がある場合は、今後の墓の管理や三回忌以降のお付き合いにも関わります。親族より先に、寺院へ話を通すと安心です。

宗派や地域によって、法要の考え方や作法は異なります。浄土真宗など宗派による違いは、寺院に確認するのが確実だと、Treeは説明しています。菩提寺がない場合は、読経を頼むかどうかを家族で決めれば進められます。

一周忌のお布施や費用は、どのくらい用意すればよいですか

目安は資料によって幅があります。次の表は、2026年10月時点で公開されている目安です。

項目目安備考
お布施3万〜5万円Treeの目安(四十九日・一周忌・三回忌)
お布施3万〜10万円ALSOKの目安(明確な決まりはない)
お車代5,000円〜1万円寺院以外で行う場合
御膳料5,000円〜1万円僧侶が会食に参加しない場合
会食費3,000円〜7,000円会食を行う場合
香典返し1,000円〜5,000円香典を受け取る場合

Treeは、参列者10名・自宅実施・会食ありの一周忌で、総額が概ね10万〜15万円を目安としています。家族のみの場合は会場が小さくなるため、費用を抑えやすいとALSOKは説明しています。

金額は地域・寺院・法要の規模で変わります。お布施は、菩提寺に確認するのが確実です。

散骨・樹木葬・手元供養にした場合、一周忌はどうなりますか

遺骨の行き先によって、一周忌で手を合わせる場所が変わります。

穏やかな海を小さな白い船が進み、水面に白い花びらが浮かぶ様子

散骨した場合は、海域や位牌の前で手を合わせる

Treeによると、散骨後は遺骨が自然に還るため、従来のようなお墓参りはできません。海洋散骨では、日時と場所(緯度経度)を記載した散骨証明書が渡されます。その海域付近を訪れて手を合わせる「海洋メモリアル」を行う方もいます。

一周忌に合わせて船で海域へ向かう場合は、再訪のプランがあるか、料金はいくらかを事業者に確かめてください。自宅で位牌や写真を前に家族だけで手を合わせる形でも、一周忌は営めます。菩提寺がある場合は、散骨を決めた段階で住職に伝えておくと安心です。

散骨後の法要や仏壇・位牌の扱いは、散骨後の供養の方法で整理しています。

樹木葬・永代供養にした場合は、納骨先に確認する

寺院の境内にある樹木葬には、宗派や法要の形式に条件がある場合があると、Treeは説明しています。一周忌を家族で営みたいときは、納骨先の寺院や霊園が年忌法要を受け付けているか、お布施とは別の料金がかかるかを確かめてください。

永代供養は、合祀の時期や法要の有無が施設ごとに異なります。契約内容で後悔しないための確認事項は、永代供養で後悔しないための確認点にまとめています。

手元供養にした場合は、家族の集まりが法要になる

遺骨の一部を手元供養品として残す方法を、散骨と併用する方もいます。手元供養品のミニ骨壺や遺骨ペンダントを前に、家族で手を合わせる形が一周忌になります。僧侶を呼ぶかどうかは、ここでも家族と菩提寺の考え方次第です。

分骨の手続きと費用は、手元供養のやり方と費用で紹介しています。

親族にはどう知らせ、一周忌のあとはどう続ければよいですか

家族だけで営むと決めたら、親族には法要の前に伝えます。「家族だけで静かに営みます」と一言添えれば、「呼んでもらえなかった」という気持ちを防げます。法要のあとには、挨拶状かお礼状で報告してください。

一周忌のあとの法要も、家族で決められます。Treeによると、一周忌・三回忌までで終わりにするケースが増えています。弔い上げは三十三回忌または五十回忌が一般的で、近年は七回忌や十三回忌で区切る家庭もあるそうです。一周忌のうちに、三回忌以降をどうするか家族で話しておくと、次の準備が楽になります。

一周忌を迎えるまでの喪中の過ごし方は、喪中にやってはいけないことで確認できます。

読者のタイプ別に、次の一歩をまとめます。

  • 菩提寺がある方は、決める前に住職へ電話で相談
  • 親族との関係を大切にしたい方は、案内の範囲を先に決めて事前に連絡
  • 菩提寺がなく、静かに送りたい方は、家族の会食と墓前の参拝から
  • 散骨・樹木葬・手元供養の方は、手を合わせる場所と法要の可否を先に確認

よくある質問

家族だけの一周忌でも、香典は受け取りますか

受け取る場合は、人数分の返礼品を用意します。辞退する場合は、事前に連絡しておくとスムーズです。ALSOKの解説にもあるとおり、どちらにするかは家族で決めて構いません。

一周忌の法要をしないと、あとで困ることはありますか

法要を省くこと自体に法的な問題はないとされています。気をつけたいのは、菩提寺との関係と親族の気持ちです。決める前に住職へ相談し、親族には理由を添えて伝えてください。

僧侶を呼ばず、墓前で手を合わせるだけでもよいですか

僧侶を呼ばない形を禁じる公的な決まりは見当たりません。菩提寺に納骨している場合は、先に住職へ相談してください。寺院によって考え方が異なるため、事前の一言が安心につながります。


本記事に記載の費用相場は、2026年10月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、実際の金額は寺院・地域・事業者によって異なります。宗派や地域によって慣習が異なるため、法要の進め方は菩提寺にご確認ください。個別の法律判断や税務判断が必要な場合は、自治体の窓口や弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。