「墓じまいには補助金が出ると聞いたけれど、自分の地域でも使えるのだろうか」。そう考えて調べ始めた方も多いのではないでしょうか。墓石の撤去や改葬には数十万円単位の費用がかかることが多く、少しでも負担を軽くできる制度があるなら活用したいと考えるのは自然なことです。
結論からいうと、墓じまいの補助金は国が一律に用意している制度ではなく、一部の自治体が独自に設けている限定的な仕組みです。しかも対象は多くの場合、その自治体が運営する公営霊園に限られており、寺院墓地や民営霊園を利用している場合は対象外となるのが一般的です。この記事では、実際に確認できた自治体の制度例と、お住まいの地域で制度の有無を調べる手順、補助金が使えない場合の代替策を整理します。
墓じまいの補助金は「全国一律」ではない
墓じまいに関する補助金や助成金は、国の制度としては存在していません。存在するのは、一部の市区町村が独自の予算で設けている支援制度です。多くの場合、その自治体が管理する公営霊園・市営墓地の利用者を対象に、墓所を返還する際の原状回復費用(墓石の撤去・区画を更地に戻す費用)の一部を助成する、という形を取っています。
このため、次のような点に注意が必要です。
- 制度があるかどうかは自治体によって大きく異なり、多くの市区町村には制度自体が存在しません
- 制度がある場合も、対象は公営霊園の利用者に限られることがほとんどで、寺院墓地や民営霊園は対象外とされることが一般的です
- 予算の上限に達すると、年度の途中でも受付が終了することがあります
「補助金があるはず」と思い込んで手続きを進めるのではなく、まずはお墓のある市区町村に制度の有無を確認するところから始めることをおすすめします。
実際に確認できた自治体の支援制度
ここでは、2026年9月時点で自治体の公式サイト上に制度の記載が確認できた例を紹介します。いずれも制度の内容や受付状況は変更される可能性があるため、利用を検討する場合は必ず該当の窓口で最新情報を確認してください。
千葉県市川市「霊園一般墓地返還促進事業」
市川市は、市川市霊園(市営霊園)の使用許可を受けている方を対象に、墓地を返還する際の支援制度を設けています。内容は大きく2つに分かれます。
1つ目は、墓地使用料の一部返還です。使用許可後3年以内に未使用のまま(更地の状態で)返還した場合は納付した使用料の2分の1、それ以外の場合は4分の1が返還されます。
2つ目は、原状回復費用(墓石撤去費用)の助成です。墓地の種別ごとに助成の上限額が設けられており、第1種普通墓地(4.0平方メートル)で24万円、第2種普通墓地(6.0平方メートル)で29万円、第3種普通墓地(12.0平方メートル)で44万円、芝生墓地で7万5,000円が上限とされています。
ただし、この制度は2026年5月22日時点で「予算額に達したため受付を終了しました」と公式サイトに記載されています。このように、人気の高い制度は年度の途中で受付が終わってしまうこともあるため、利用を考えている場合は早めに市川市霊園管理事務所(電話047-337-5696)へ状況を確認することが大切です。
千葉県浦安市「墓所返還者等支援事業」
浦安市では、市営墓地公園の通常墓所・小型墓所の使用許可を受けている方を対象に、2つの制度を用意しています。希望に応じて、いずれか一方または両方を申請できます。
1つ目は「合祀室改葬等許可制度」です。遺骨を市の合祀室へ改葬する場合、改葬先の使用料はかかりません(生前予約の場合は1人につき3万5,000円の負担があります)。
2つ目は「墓石撤去費等助成制度」です。墓所を返還する際の原状回復(墓石撤去など)にかかった費用について、返還後に補助金が交付されます。補助金額の上限は15万円です。
申請は、申請書や使用許可証の写し、撤去費の見積書などをそろえて浦安市役所の環境衛生課(電話047-712-6495)へ提出する形になっています。
東京都立霊園「施設変更制度」
都営の墓地ではありませんが、都立霊園を利用している方向けの制度として、東京都公園協会が運営する「施設変更制度」があります。これは、お墓を継ぐ人がいなくなる一般埋蔵施設などの使用者を対象に、現在の墓所を返還して、遺骨を合葬埋蔵施設へ共同埋蔵する制度です。
この制度を利用すると、合葬埋蔵施設への埋蔵にかかる使用料が不要になります。募集は年に3回行われており、申し込みは現在利用している霊園の窓口に相談する形です。なお、現在の墓所を原状回復する際の費用については使用者負担となるため、墓石撤去費用そのものが免除されるわけではない点には注意が必要です。制度の詳細や最新の募集時期は、霊園窓口または東京都公園協会へ直接確認することをおすすめします。
公営墓地の返還で費用が軽減されるパターンの共通点
ここまで紹介した例からも分かるとおり、補助金や助成制度が設けられているのは、いずれも自治体自身が運営する公営霊園・市営墓地です。制度の作られ方には、次のような共通した傾向が見られます。
- 対象は「その自治体が管理する墓地」の利用者に限られ、寺院墓地や民営霊園の利用者は対象外となるのが一般的です
- 「墓地を更地に戻して返還すること」が助成の前提条件になっていることが多く、遺骨をどこか(合祀室・合葬墓など)へ移す手続きとセットで案内されているケースが目立ちます
- 助成には上限額が設定されており、撤去費用の全額がカバーされるとは限りません
- 予算枠がある制度は、年度途中で受付が終了する可能性があります
こうした傾向を踏まえると、「墓じまいの補助金」は、無縁化した公営墓地を減らしたい自治体側の事情と、費用負担を抑えたい利用者側の事情が一致する場面で用意されている制度だと理解しておくとよいでしょう。
補助金がない場合に検討できる代替策
お墓のある地域に補助金制度がない場合や、寺院墓地・民営霊園を利用していて対象外となる場合も、費用を抑えるための選択肢はいくつかあります。
合葬墓・永代供養墓を検討する
改葬先として合葬墓や永代供養墓を選ぶと、個別のお墓を新たに建てる場合に比べて、費用を大きく抑えられることがあります。前述の都立霊園の施設変更制度のように、公営霊園でも合葬施設への移行を案内している例があるため、現在利用している霊園に同様の制度がないか確認してみる価値はあります。
寺院に率直に相談する
寺院墓地の場合、離檀料や閉眼供養のお布施について、率直に事情を相談することも一つの方法です。お寺によっては、事情に応じて配慮してもらえる場合もあるとされています。金額面で行き違いが生じないよう、早い段階で相談しておくことが望ましいでしょう。
改葬先の選び方で総額を抑える
墓じまいの総額は、改葬先の選び方によって大きく変わります。散骨や永代供養墓、樹木葬など、比較的費用を抑えられる選択肢もあるため、複数の改葬先を比較検討することをおすすめします。墓じまい全体の費用相場については、墓じまいの費用相場で詳しく解説しています。
補助金の有無を確認する手順
補助金制度があるかどうかは、次のような手順で確認するとスムーズです。
- お墓のある市区町村名と「霊園」「墓地」を組み合わせて自治体サイトを確認する: まずは自治体の公式サイトで、霊園・墓地関連のページを探します。「墓地返還」「原状回復費用」「助成」といった言葉で自治体サイト内検索をかけると見つけやすくなります。
- 公営霊園を利用しているかどうかを確認する: 補助金制度の多くは、その自治体が運営する公営霊園・市営墓地の利用者を対象としています。寺院墓地や民営霊園を利用している場合は、そもそも対象外である可能性が高いため、早い段階で確認しておくとよいでしょう。
- 窓口に直接問い合わせる: サイト上の情報だけでは、受付状況(予算枠の残り)や最新の助成条件まで分からないことがあります。制度名が見つかったら、担当窓口に電話などで直接確認することをおすすめします。
- 申請のタイミングを確認する: 原状回復費用の助成は、「工事前の見積書の提出が必要」など、手続きの順番が決められている場合があります。墓石撤去の契約を結ぶ前に、申請に必要な書類や手続きの順序を確認しておきましょう。
よくある質問
墓じまいの補助金はどこでも使えますか
いいえ、全国一律の制度ではありません。一部の自治体が、その自治体が運営する公営霊園の利用者を対象に、独自の支援制度を設けているのが実情です。お墓のある市区町村に制度があるかどうかは、個別に確認する必要があります。
寺院墓地や民営霊園でも補助金は使えますか
これまで確認できた自治体の制度は、いずれもその自治体が運営する公営霊園・市営墓地の利用者を対象としています。寺院墓地や民営霊園を利用している場合は、対象外となる可能性が高いとされています。詳しくはお墓のある市区町村の窓口に確認することをおすすめします。
補助金の申請はいつまでにすればよいですか
制度によって申請の受付時期や条件は異なります。また、予算枠が設けられている制度では、年度の途中で受付が終了することもあります。墓石撤去の契約を結ぶ前に、担当窓口へ申請可能かどうかを確認しておくことをおすすめします。
本記事に記載の情報は、2026年9月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、制度の有無や条件は自治体によって異なります。最新の制度内容や受付状況については、お墓のある市区町村の窓口で必ずご確認ください。