遺品整理業者に頼む前に、どんなトラブルが起きているのかを知りたい方へ。国民生活センターには2017年度に105件の相談が寄せられ、追加料金・キャンセル料・遺品の誤処分といった事例が公表されています。防ぐ手がかりは、書面での見積もり、許可の確認、残す物の事前の取り決めの3つです。契約後に困ったときの相談先もあわせて確認できます。

遺品整理では、どんなトラブルが起きていますか

国民生活センターは2018年7月19日、遺品整理サービスの契約トラブルを公表しました。相談件数は2016年度が114件、2017年度が105件です。

公表された事例は、次の4つの型に分けられます。

トラブルの型公表された事例
急かされた契約見積もりの際にせかされて契約したが、作業が始まらず解約を希望した
高額なキャンセル料解約を申し出たところ、高額なキャンセル料を請求された
追加料金作業時に予定外の料金を請求され、最終的に見積金額の2倍になった
遺品の誤処分処分しないよう頼んだ物を、勝手に処分された

不用品回収サービスでも、同じ型の相談が増えています

遺品を不用品回収サービスで処分する場合も、似た相談が公表されています。2022年11月の発表では、相談件数は2018年度の1,354件から2021年度は2,231件でした。

主な事例は、インターネット広告の「2トントラックパック25,000円」で申し込んだケースです。当日は作業員3名が2トントラックで来て、作業後に25万円を請求されました。支払いの場で「クーリング・オフはできない」と書かれた書面にサインさせられたとも報告されています。定額パックでも、人件費や廃棄費用などの追加料金が発生しやすいと説明されています。

見積もりでは、何を確かめれば追加料金を防げますか

国民生活センターは、複数社から見積もりを取り、作業内容と費用が明確に示されているかを確認するよう案内しています。見積書と契約書では、次の4つを見てください。

木の机の上に書類と朱肉、印鑑、虫眼鏡、ボールペンが並ぶ様子
確かめる項目見積書・契約書で見るところ
総額基本料金のほかに、人件費・運搬費・廃棄費用が含まれているか
追加料金の条件どんな場合にいくら増えるのかが、書面に書かれているか
作業内容対象の部屋、残す物と処分する物の扱い、作業の人数
キャンセル料いつから、いくらかかるのか

「一式」とだけ書かれた項目は、何を含むのか内訳を尋ねてください。この確認は公式の明文ではなく、実務上の助言です。

見積もりの場で急かされたら、持ち帰る

見積もりの際にせかされて契約した事例がありました。「家族と相談して連絡します」と伝えて持ち帰れば、複数社を比べられます。これも実務上の助言です。

作業当日に別の金額を言われたとき

国民生活センターは、作業前に変更を提案されて納得できなければ、きっぱり断るよう案内しています。作業中や作業後に想定外の料金を求められたら、その場での支払いは断ります。身の危険を感じたときは、警察への連絡も一つの方法です。

業者の許可は、どう確認すればよいですか

国民生活センターによると、一般家庭ごみの収集・運搬には、一般廃棄物処理業の許可か、市区町村からの委託が必要です。産業廃棄物処理業の許可しか持たない事業者とのトラブルが目立つと報告されています。

許可何のための許可か確かめる場面
一般廃棄物収集運搬業家庭から出る不用品の収集・運搬処分を頼むとき
古物商遺品の買い取り買い取りも頼むとき

横浜市は、費用を払って不用品を処分するなら「一般廃棄物収集運搬業」の許可を必ず確認するよう呼びかけています。許可のない業者には頼まず、許可業者を探します。

古物商の許可は、買い取りのための許可

横浜市の案内では、家財の買い取りを頼むなら古物商の許可が必要です。処分と買い取りの許可は別なので、分けて確かめてください。買い取りの進め方は遺品買取で整理費用を相殺する方法にあります。

無許可の業者に頼むと起きること

横浜市は、無許可の業者に回収された廃棄物が不法投棄された例があると説明しています。国民生活センターは、広告を大きく出している事業者が許可業者とは限らないと注意し、依頼後に無許可と分かったときは作業を断るよう案内しています。

許可の確認は、次の順で進めます。

  1. お住まいの市区町村のホームページか窓口で、許可業者の一覧を調べる
  2. 見積もりの連絡をする前に、業者名が一覧にあるかを照合する
  3. 一覧にない業者は、許可の種類と許可を出した自治体を書面で示してもらう

3つ目の進め方は、公式の明文ではなく実務上の助言です。

貴重品や形見を、捨てられないようにするには

誤処分を防ぐ軸は、残す遺品と処分する遺品を、依頼の前にはっきり分けておくことです。国民生活センターも、この仕分けを事前の対策として挙げています。

取り違えを防ぐために、業者へ渡す前に次の順で手元へ集めておきます。ここからは実務上の助言です。

  • 通帳・印鑑・現金・貴金属・契約書類など、手続きに関わる物は先に探して手元へ置く
  • 写真・手紙・位牌など、形見として残したい物は、部屋ごとに箱へまとめる
  • 残す物の箱に「処分不可」と書いた紙を貼り、置き場所を見積もりの担当者に見せる
  • 作業の日は立ち会い、仕分けの判断を現場で伝える

仕分けの手順は遺品整理を自分でやる手順に、形見の分け方は形見分けの進め方にまとめています。孤独死などで特殊清掃が必要な場合は、特殊清掃の費用の記事も確かめてください。

契約後に困ったら、どこに相談すればよいですか

最初の相談先は、お住まいの地域の消費生活センターです。国民生活センターも、業者とトラブルになったときは消費生活センターへの相談を案内しています。

消費者ホットライン188で窓口を探す

どこに連絡すればよいか迷ったときは、全国共通の「188」に電話します。最寄りの消費生活相談窓口を案内してもらえます。

相談の前に、見積書・契約書・請求書、広告のスクリーンショット、業者とのやりとりの記録をそろえておくと話が進みます。この準備は実務上の助言です。

クーリング・オフが使えることもある

国民生活センターは、見積もり目的で呼んだ業者とその場で契約した場合や、広告と請求額が大きく違う場合に、訪問販売としてクーリング・オフが使える可能性があると説明しています。

消費者庁の特定商取引法ガイドでは、訪問販売のクーリング・オフは、法定の書面を受け取った日から8日以内なら、書面か電磁的記録で申し出られます。事業者が事実と違うことを告げたり、威迫したりして、消費者が行使できなかった場合は、8日を過ぎても使えるとされています。

対象になるかは契約の状況で変わります。「クーリング・オフはできない」と書かれた書面に署名した場合でも、あきらめる前に消費生活センターへ相談してください。

信頼できる業者を選ぶチェックリストはありますか

ここまでの内容を、依頼前に確かめる6項目にまとめました。

確認項目確かめ方根拠
一般廃棄物収集運搬業の許可市区町村の許可業者一覧と照合する横浜市・国民生活センター
古物商の許可(買い取りも頼むとき)買い取りの分について許可を確認する横浜市
見積書の総額と内訳基本料金と追加料金の条件が書面にある国民生活センター
キャンセル料発生する時期と金額が書面にある国民生活センター
残す遺品の取り決め作業前に、残す物と処分する物を分けて伝える国民生活センター
契約を急かされないかその場で決めず、持ち帰れるか実務上の助言

許可の確認と書面の見積もりは、依頼の前にそろえておきたい2つです。費用の目安は遺品整理の費用相場で間取り別に確認できます。

許可の確認から始めたい方は市区町村の窓口へ、費用を比べてから動きたい方は見積書の総額と内訳へ、不安が残る方は188へ。それぞれの入口から、ひとつずつ進めてください。

よくある質問

追加料金を請求されたら、その場で払うべきですか

国民生活センターは、作業中や作業後に想定外の料金を求められたら、その場での支払いは断るよう案内しています。納得した金額なら、後日支払う意思を示します。対応に迷ったら188へ相談してください。

依頼したあとで、無許可の業者と分かったらどうしますか

国民生活センターは、依頼後に無許可業者と分かった場合は作業を断るよう案内しています。すでに請求が届いているときは、自分で判断せず、188か消費生活センターに相談してください。

業者に頼む前に、自分でしておくことはありますか

残す遺品と処分する遺品を分けておくことです。国民生活センターも、この仕分けを事前の対策に挙げています。手順は遺品整理を自分でやる手順で確かめられます。


本記事に記載の内容は、2026年10月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、実際の金額や手続きは事業者・自治体によって異なります。個別の法律判断や税務判断が必要な場合は、自治体の窓口や弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。