改葬許可申請書は、役所で用紙を受け取ったものの、「改葬の理由」や「使用者との関係」の欄で手が止まりやすい書類です。結論から言うと、申請書そのものは項目を順に埋めるだけで書き上がります。時間がかかるのは、墓地管理者の証明や改葬先の受入証明といった添付書類の準備です。この記事では府中市・横浜市・長野市の公開情報をもとに、申請書1枚を項目別に埋める手順と、そろえる書類を整理します。読み終えるころには、役所に出す前に何を誰からもらえばよいかが決まります。

なお、様式・添付書類・手数料は自治体によって異なります。実際に使うのは、遺骨がいま納められている場所を管轄する市区町村の様式です。ここで紹介する内容は、その確認の目安として使ってください。

改葬許可申請書とは?どこで入手するのか

改葬許可申請書は、遺骨を別の墓地や納骨堂へ移すときに、市区町村長の許可を受けるための書類です。全体の流れは「墓じまいの手順を7ステップで解説」にまとめています。本記事はそのうち「役所への申請」の部分を深掘りします。

申請先は「いまお墓がある」市区町村

申請先は、移したい先ではなく、遺骨が現在納められている墓地を管轄する市区町村です。横浜市の場合は、墓地がある区の区役所戸籍課が窓口です。長野市のリーフレットも、現在の墓地が市外にあるときは、その市区町村に問い合わせるよう案内しています。

用紙は窓口かホームページで受け取れる

横浜市では、市のオンライン申請サービスからダウンロードして印刷するか、区役所戸籍課で受け取れます。長野市も窓口またはホームページで入手でき、記入例も市のサイトに掲載されています。府中市にも記入例のPDFが用意されています。

手数料は、府中市・横浜市・長野市の3市とも無料です。ただし墓地管理者が証明書の発行に費用を求める場合があり、横浜市のページも事前確認をすすめています。

記入項目の書き方:改葬の理由と申請者・使用者の関係

申請書は、大きく「申請者の欄」「死亡者の欄」「改葬先の欄」「墓地管理者の証明欄」に分かれます。自治体ごとに配置は違っても、書く内容はほぼ共通です。

申請者と墓地使用者の関係をそろえる

申請者になれるのは、現在の墓地使用者です。府中市は、使用者がすでに亡くなっている場合、先に墓地側で使用者の名義を変更してから手続きするよう案内しています。名義が前の代のままなら、申請書より先にそちらを片づけます。

申請者と使用者が別人のとき、たとえば名義は父、手続きは長男というときは、使用者の承諾書が必要になります。横浜市は委任状または承諾書、府中市と長野市は承諾書を求めています。

改葬の理由は事実を一文で書く

理由欄がある様式では、短く事実だけを書けば足ります。たとえば次のような書き方です。

  • 墓地の承継者がいないため、○○霊園の永代供養墓へ移すため
  • 遠方で管理が難しくなったため、居住地近くの納骨堂へ移すため
  • 墓地の整理に伴い、○○寺の墓所から○○市営墓地へ移すため

詳しい経緯や親族の事情は書かなくてかまいません。離檀料や寺院との話し合いの背景は申請書の範囲外です。そこで悩んでいる場合は「離檀料とは?相場とトラブルを避ける寺院との話し合い方」が参考になります。

分からない日付は「不詳」と書く

火葬や埋葬の年月日が分からないとき、府中市は「不詳」と書くか、分かる部分まで書いて「以下不詳」とするよう案内しています。長野市も、本籍・住所・死亡年月日が分からない場合は「不明」または「不詳」と記入するとしています。空欄で出すより、この書き方のほうが確実です。

墓地管理者の証明欄は自分で書かない

多くの様式には、現在の墓地の管理者が「確かにここに埋蔵されている」と証明する欄があります。ここは申請者が書く欄ではありません。申請書を先に記入し、寺院や霊園の事務所へ持参して記名・押印をもらいます。府中市では、この欄に証明があれば別の埋蔵証明書は不要とされています。

添付書類:埋蔵証明・受入証明・承諾書の用意

申請書と一緒に出す書類は、基本の3点と、状況によって加わるものに分かれます。

書類発行する人補足
埋蔵(収蔵)証明書現在の墓地・納骨堂の管理者申請書の証明欄で兼ねられる自治体あり
受入証明書改葬先の管理者永代使用許可証の写しで足りる自治体あり
承諾書現在の墓地使用者申請者と使用者が別人のとき
本人確認書類申請者代理人が出すときは委任状も

受入証明書は改葬先が決まってからもらう

受入証明書は、改葬先の管理者が遺骨の受け入れを認める書類です。長野市では、永代使用許可証や墓地使用権利証など、受け入れが分かるものでも可とされています。府中市は原本とコピーの提出を求め、改葬先に書式がなければ市の「遺骨受入証明書」の書式を使えるとしています。

長野市のよくある質問には、改葬先が決まらないうちの事前申請はできないと書かれています。先に改葬先を決め、受入証明書をもらってから申請する順序です。

埋蔵証明書が出ないときの代わりの書面

寺院が証明書を出さない、あるいは管理者がいないといった事情で、埋蔵証明書が取れない場合もあります。総務省東北管区行政評価局の資料によると、制度上は、管理者が証明を拒んだ場合でも、市町村長が認める「これに代わる立証の書面」で扱える旨が示されています。実際に管内の市町村で、この代替書面により許可した例も挙がっています。

何を代替書面と認めるかは市町村ごとに判断が分かれるため、まず役所の窓口に事情を伝えて相談します。寺院側の事情は「埋蔵証明書を寺院が出さない場合」の解説も参考になります。

遺骨が複数ある場合と、郵送で申請する場合

複数の遺骨は「焼骨等一覧」でまとめられる自治体がある

長野市のリーフレットによると、申請書・埋蔵証明書・受入証明書・承諾書は、本来は故人お一人につき1通ずつ必要です。「焼骨等一覧」を添付すれば、それぞれ1通にまとめられるとされています。府中市も、改葬する方が複数のときは死亡者の内訳を添えるよう案内しています。まとめ方は自治体で異なるため、書類を作り始める前に窓口で聞いておくと二度手間になりません。

郵送は返信用封筒と日中の連絡先がカギ

横浜市は郵送申請に対応しています。申請書に日中連絡がつく電話番号を書き、住所を書いて切手を貼った返信用封筒を同封します。長野市も、許可証を郵送で受け取るなら送付用の封筒と切手が必要です。

一方、府中市は窓口での申請を案内していて、オンライン手続きはできないとしています。郵送できるかどうかは自治体次第なので、遠方の方ほど最初に電話で確認してください。遠方のお墓の進め方は「遠方のお墓の墓じまいを進める方法」で整理しています。

申請後の流れと、許可証の扱い

申請後は、審査を経て改葬許可証が交付されます。長野市は、窓口・オンライン・郵送のいずれでも発行まで1週間ほど、不備があれば1か月ほどかかる場合があるとしています。余裕を見て、納骨日や墓石の撤去日の1か月以上前に出しておくと安心です。

許可証を受け取ったあとは、次の順に使います。

  1. 現在の墓地の管理者に許可証を見せて、遺骨を取り出す(横浜市では、この時点で渡す必要はなく、長野市では返してもらうよう案内)
  2. 改葬先の管理者に許可証を提出して、納骨する

許可証の有効期間については、今回確認した3市の案内に記載がありません。交付を受けるときに、期限の有無と再交付の扱いを窓口で聞いておくと、納骨日が延びたときも慌てずにすみます。

よくある質問

改葬許可申請書は、申請者以外が書いてもよいですか?

申請者本人が書くのが基本です。ただし、役所への提出は代理人でもできる自治体があります。府中市と長野市は、委任状と本人確認書類があれば代理人が出せる旨を案内しています。

手数料はいくらかかりますか?

府中市・横浜市・長野市の3市は無料としています。ただし手数料は自治体ごとに定められているため、申請先の案内で確認してください。墓地管理者の証明書の発行に別途費用がかかることもあります。

散骨や自宅保管でも改葬許可は必要ですか?

長野市の案内では、散骨そのものに法令上の許可の規定はなく、改葬許可も必要ないとされています。ただし自治体によっては条例で散骨を制限しているため、散骨する場所の市区町村に事前に確認してください。自宅に遺骨を安置する場合の扱いも、念のため窓口で確認すると確実です。


本記事に記載の内容は、2026年10月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、実際の様式・添付書類・手数料は自治体によって異なります。個別の法律判断や税務判断が必要な場合は、自治体の窓口や弁護士・行政書士などの専門家にご相談ください。