墓じまいを決めたあと、見積もりに載っているのは墓石の撤去費用だけ。遺骨の移し先である永代供養にいくらかかるのかは、別に調べないと分かりません。そう気づいて手が止まっている方は少なくありません。

この記事では、移し先として永代供養を選んだときの費用を、自治体が公表している料金と、事業者サイトの掲載額に分けて整理します。墓石の撤去や離檀料など、墓じまい側の費用は墓じまいの費用の内訳の記事で確認できます。

墓じまいの総額は「撤去側」と「移転先側」に分かれる

墓じまいの費用は、大きく二つに分けて考えると見通しが立ちます。

  • 撤去側: 墓石の解体・撤去、閉眼供養のお布施、離檀料、改葬許可の手続きなど
  • 移転先側: 永代供養墓や樹木葬、納骨堂などに遺骨を納めるための使用料・供養料

永代供養は、この移転先側に当たります。永代供養の費用は、遺骨を他の方と一緒に納める「合祀」か、一定期間は個別に安置するタイプかで大きく変わります。個別に安置する期間が過ぎると、合祀へ移るのが一般的とされています。

自治体が公表している合葬墓の料金

民間の永代供養に先立って、自治体が運営する合葬式の施設の料金を見ておくと、比較の物差しになります。いずれも各自治体が公表している遺骨1体あたりの使用料です。

都立霊園(令和8年度募集)

東京都の令和8年度の募集では、合葬埋蔵施設の使用料が次のとおり公表されています(2026年10月確認)。

霊園埋蔵の形式使用料(遺骨1体)
多磨霊園一定期間後に共同埋蔵61,000円
八柱霊園一定期間後に共同埋蔵131,000円
八柱霊園直接共同埋蔵53,000円
小平霊園(2号基)直接共同埋蔵58,000円

「一定期間後に共同埋蔵」は、使用許可日から20年間は個別に保管し、その後に共同埋蔵する形式です。「直接共同埋蔵」は、納骨時に速やかに共同埋蔵されます。募集の対象や条件は年度ごとに定められているため、申し込む前に募集要項で確認してください。

横浜市営の日野こもれび納骨堂(令和8年度募集)

横浜市の令和8年度の募集案内では、日野こもれび納骨堂の合葬式納骨施設は、遺骨1体分で使用料74,800円(60年)、管理料46,200円(60年)です。2体分は使用料149,600円、管理料92,400円と公表されています。60年分の使用料と管理料を合わせると、1体で121,000円になる計算です。申込資格には横浜市への在住期間などの条件があります。

浦安市の合祀室

浦安市では、市営墓地の墓所を返還して遺骨を合祀室へ改葬する場合、改葬先の使用料を負担せずに返還できる制度が案内されています。生前に合祀室を予約する場合は1人35,000円です。あわせて、墓石撤去費などへの助成は上限15万円とされています。こうした制度は自治体ごとに異なるため、お墓のある市区町村の窓口で確認してみてください。補助金の探し方は墓じまいの補助金の記事にまとめています。

民間の永代供養の費用はタイプで幅がある

民間の寺院や霊園が運営する永代供養墓の料金は、施設ごとに異なります。ここでは、事業者サイトが掲載している金額を目安として紹介します。

タイプライフドットの掲載額内容
合葬・合祀型5万〜20万円最初から他の遺骨と一緒に納める
集合埋葬型20万〜60万円骨壺や骨袋のまま共有の区画に納める
個別埋葬型50万〜150万円家族ごとの区画。期間後に合葬が一般的

ライフドットの記事(2025年5月30日更新)には、個別に納骨できる期間が3年・13年・33年などの節目で定められることが多く、期間後は合葬されるのが一般的、という説明があります。

別の事業者の解説(行政書士法人Tree、2026年5月23日更新)でも、合祀墓は5万〜30万円、納骨堂は30万〜100万円、個別墓(永代供養付き)は80万〜150万円と、近い幅で紹介されています。いずれも事業者の掲載額であり、公的機関の調査値ではありません。実際の金額は、見積書で確かめるのが確実です。

契約前に確認したい費用の中身

永代供養の料金は、広告の「○万円〜」だけでは比べられません。見積もりをもらうときは、次の点を一つずつ確認すると安心です。

  • 含まれる項目: 永代供養料、納骨料、プレート彫刻料、法要のお布施がそれぞれ別になっていないか
  • 年間管理費の有無: 一括払いで済むのか、年ごとの管理費が続くのか
  • 個別安置の期間: 何年後に合祀されるのか、合祀後は遺骨を取り出せないという点に納得できるか
  • 人数と追加料金: 夫婦や家族で入る場合の1人あたり料金、後から追加する際の費用

自治体の合葬墓は金額が明確で安心感がある反面、居住地などの申込条件や募集時期が決まっています。民間は選択肢が広い反面、内容の違いが分かりにくくなります。両方の見積もりを並べて比べるのが、納得のいく選び方です。

樹木葬との違いを整理したい方は樹木葬と永代供養の違いの記事も参考になります。

撤去費と合わせた総額の考え方

総額は「撤去側の費用」と「移転先側の費用」を足して考えます。たとえば、移転先を自治体の合葬墓にして使用料が6万円台なら、移転先側は数万円に収まる場合があります。ただし、撤去費・お布施・改葬手続きの費用は別に必要です。

予算に余裕がないときは、合葬型を選ぶと移転先側の負担を抑えやすくなります。一方で、合祀すると遺骨を個別に取り出せなくなります。家族で話し合って、費用と気持ちの両方に折り合いをつけてから決めることが大切です。

永代供養料とは別に、納骨法要で包むお布施の目安は永代供養のお布施の相場で、合祀墓の仕組みは合祀墓とは?合葬墓・永代供養墓との違いで確認できます。

よくある質問

永代供養にすれば、その後の費用はまったくかかりませんか?

施設によって異なります。使用料と管理料を契約時にまとめて払うタイプもあれば、年ごとの管理費が続くタイプもあります。横浜市の合葬式のように、使用料と管理料が別々に公表されている例もあります。契約書で管理費の有無を確認してください。

公営の合葬墓は誰でも申し込めますか?

自治体ごとに条件が定められています。横浜市の募集では市内への在住期間などの要件があります。都立霊園も年度ごとに募集要項が公表されているため、申し込み前に最新の条件を確認してください。

合祀したあとで、遺骨を取り出すことはできますか?

合祀された遺骨は他の方の遺骨と一緒になるため、後から個別に取り出すことはできないとされています。迷っている場合は、一定期間は個別に安置されるタイプを選ぶ方法もあります。


本記事に記載の費用は、2026年10月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、実際の金額は事業者・寺院・自治体によって異なります。個別の法律判断や税務判断が必要な場合は、自治体の窓口や弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。