親が施設に入った、あるいは亡くなって実家が空き家になった。何から手をつければよいのか、順番がわからないという方は少なくありません。
実家じまいは、家財の片付け、不動産の処分、相続の手続きが同時に進むため、順番を誤ると二度手間になります。この記事では、一般的な流れを時系列で整理し、期限があるものを中心に、公的機関の情報で確認できる点を押さえます。
実家じまいの全体像と期間の目安
アットホームの解説では、実家じまいの流れは次の順で整理されています。
- 家族・親族で話し合う(売却、賃貸、解体、誰かが住む、など)
- 親の住み替え先を決める(存命の場合)
- 家財道具を仕分ける
- 片付け・不用品を処分する
- 売却や解体など、家を手放す方法を選ぶ
- 税理士や司法書士など、専門家と手続きを進める
期間は全体で3〜6か月、売却まで含めると1年程度かかる場合もあるとされています。ただし、相続が絡む場合は、期限のある手続きを先に押さえると安心です。
ステップ1:家族で方針を話し合う
最初に決めるのは、家をどうするかの方針です。売る、貸す、解体する、家族が住むなど、選択肢ごとに必要な費用と手続きが変わります。
相続人が複数いる場合は、全員で意向を共有しておくことが大切です。後から意見が分かれると、遺産分割や売却の手続きが止まる原因になります。親が存命であれば、本人の意向を最優先にして話し合ってください。
ステップ2:家財の整理と片付け
方針が固まったら、家財の整理に進みます。残す物、譲る物、処分する物に仕分けてから、不用品の処分に移ります。
アットホームの解説では、不用品処分の費用は平均約30万円とされ(総務省2020年調査の引用)、量や部屋数によって変わります。一戸建てを専門会社に頼めば、1〜3日で終わる目安が示されています。
業者に依頼する場合は、一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者かどうかを必ず確認してください。親が元気なうちに進める場合の順番は実家の片付けを何から始めるかの記事に、費用の内訳は実家じまいの費用を要素別に整理した記事にまとめています。
なお、相続が開始している場合、家財の中に相続財産に当たる物が含まれることがあります。通帳や貴金属、価値のある物を勝手に処分しないよう、先に家族で確認してください。
ステップ3:相続に関わる期限を確認する
相続が開始している場合、次の期限が関係します。個別の判断は、司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。
相続放棄の期限
相続放棄は、相続の開始を知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述する必要があるとされています(裁判所の案内)。申述の費用は、収入印紙800円分(申述人1人につき)と連絡用の郵便切手です。
実家に借金が残っていた場合などは、この期限が重要になります。ただし、家財の処分と相続放棄の関係など個別の判断が必要な点もあるため、放棄を考えている場合は、家財に手をつける前に専門家へ確認してください。
相続登記の申請義務化
法務省の周知資料によると、令和6年(2024年)4月1日から、相続登記の申請が義務化されています。大阪法務局の案内では、相続で不動産を取得した相続人は、所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があるとされています。正当な理由がなく義務に違反した場合、10万円以下の過料が科されることがあると、法務省の資料に記載されています。
義務化より前に相続した不動産でも、相続登記がされていなければ対象になる点にも注意が必要です。3年以内の登記が難しい場合に、義務を履行できる「相続人申告登記」という仕組みがあります。詳しい手続きは法務局の案内や司法書士にご確認ください。
相続税の申告期限
アットホームの解説では、相続税の申告は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内とされています。実家以外の財産を含めた総額で判断が必要になるため、税理士に確認すると安心です。
ステップ4:家を手放す方法を選ぶ
家財の整理と相続の手続きが進んだら、家の扱いを決めます。
- 売却: 不動産会社に査定を依頼し、土地と建物を一緒に売るか、解体して更地で売るかを決めます。
- 解体: アットホームの解説では、1坪あたり木造4〜5万円、鉄骨造6〜7万円、鉄筋コンクリート造7〜8万円とされています。
- 賃貸・活用: 修繕費や管理の手間がかかります。
自治体によっては、家財整理や解体に補助金を設けているところがあります。アットホームの解説には、東京都の空き家の家財整理費用の2分の1(上限5万円)や、墨田区の除去工事費の2分の1(上限50万円)などの例が紹介されています。要件は自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体の窓口で確認してください。
売却後の流れは空き家売却と相続の記事で詳しく扱っています。
売却時の税金:3000万円特別控除
国税庁のタックスアンサーNo.3306では、被相続人の居住用財産(空き家)を売った場合の特例が案内されています。主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始直前に被相続人以外に居住者がいなかったことなどです。
期限は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることとされています。売却代金が1億円以下である必要があり、令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合の控除額は2,000万円までです。適用には確定申告が必要です。この特例の対象は譲渡が令和9年12月31日までとされています。
ステップ5:お墓や仏壇も忘れずに
実家じまいでは、仏壇や位牌の扱いも見落とされがちです。処分する場合は、閉眼供養を依頼するのが一般的とされています。お墓が遠方にある場合は、墓じまいの手順の記事も確認してください。
片付けから売却までの業者の選び方と、頼む先ごとに確認する許可は実家じまいの業者選びと費用で整理しています。
よくある質問
実家じまいは、親が亡くなる前と後のどちらから始めるべきですか?
法的な期限があるのは、亡くなった後の相続登記、相続放棄、税金の手続きです。亡くなる前なら、片付けや話し合いに時間をかけられるメリットがあります。家財の整理を先に進められる点で、親が元気なうちに始めるほうが負担を分散できます。
相続登記をしないで売却はできますか?
売却の際は、名義を相続人へ変更する相続登記が前提になるのが一般的です。売却を見据えている場合も、先に登記の手続きを進める必要があります。具体的な手順は、司法書士や不動産会社にご相談ください。
兄弟姉妹の間で意見が分かれたときはどうすればいいですか?
売却や解体は相続人全員に関わる事柄のため、意見の食い違いは早めに話し合う必要があります。話がまとまらない場合は、弁護士や家庭裁判所の調停など、専門家や公的機関を頼る方法があります。
本記事に記載の内容は、2026年10月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、実際の金額や取り扱いは事業者・自治体によって異なります。個別の法律判断や税務判断が必要な場合は、自治体の窓口や弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。