実家じまいの業者選びと費用で迷う方は、片付け・解体・売却・名義変更の4つの工程に分けて考えると整理できます。工程ごとに頼む先が違い、確かめる許可も変わるためです。

この記事では、遺品整理業者・不用品回収業者・解体業者・不動産会社・司法書士の役割を表にまとめました。国民生活センター、環境省、国土交通省の資料をもとに、見積もりの取り方と許可の確かめ方も整理しています。まず表で、いま探しているのがどの工程の業者かを確かめてください。

実家じまいは、どの工程をどの業者に頼めばよいですか?

実家じまいは、家の中の片付けから不動産の処分までを順に進める作業です。一社にすべてを任せる方法もありますが、工程ごとに専門の業者が分かれています。

工程頼む先確認すること
家財の仕分け・搬出遺品整理業者一般廃棄物収集運搬業の許可(自社か提携先)
家庭ごみの回収市区町村、または許可を受けた回収業者市区町村の一般廃棄物の許可
家財・骨董品の買取買取業者古物商の許可
建物の解体解体業者建設業許可、または解体工事業者の登録
売却不動産会社(仲介・買取)査定額、媒介契約の内容
相続登記・名義変更司法書士報酬額と対応範囲

表のうち、許可の確認が必要なのは前半の4行です。片付けの業者が一般廃棄物の許可を持っていない場合は、許可を持つ業者に処分を頼む形になります。

流れと順番は実家じまいの手順に、費用の内訳は実家じまいの費用を要素別に整理した記事にまとめています。この記事では「誰に頼むか」に絞って進めます。

片付けを任せる業者は、何を基準に選べばよいですか?

片付けは、実家じまいの中でもトラブルの相談が集まる工程です。国民生活センターによると、不用品回収サービスの相談は2018年度の1,354件から2021年度の2,231件へ増えています(PIO-NET登録分)。基準は「許可」「見積もり」「追加料金」の3つです。

机の上にクリップボードの書類とボールペン、巻き尺が置かれている様子

許可は、何の許可を確かめますか?

家庭から出る家財の回収には、市区町村の一般廃棄物処理業の許可、または市区町村の委託が必要です。環境省のQ&Aでは、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では家庭の廃棄物を回収できないとされています。

横浜市は、無許可の業者に不用品の処理を依頼することは法律違反としています。遺品整理業者が許可を持たない場合は、許可業者に処分を頼む形になり、契約は依頼者と許可業者が直接結ぶ必要があります。遺品整理業者に契約を任せることもできます。

家財の買取は別で、古物商の許可を持つ業者に頼みます。買取と回収を同じ会社に頼む場合は、2つの許可の両方を確かめてください。

許可の有無は、市区町村のホームページや窓口で一般廃棄物の許可業者を探すと確かめられます。国民生活センターは、広告を大きく出している事業者が許可業者とは限らないと注意しています。

見積もりは、現地で複数社に取りますか?

写真やメールだけの概算は、当日に金額が変わる原因になります。部屋数と荷物の量を実際に見てもらう現地見積もりを、複数社に頼んでください。国民生活センターも、複数社から見積もりを取るよう勧めています。

見積もりの場で、その日のうちの契約を急がされたら、持ち帰って検討してください。国民生活センターによると、見積もりのために呼んだ業者とその場で契約した場合は、訪問販売のクーリング・オフが使える可能性があります。

追加料金は、どんな条件で出ますか?

国民生活センターは、定額パックや「トラック詰め放題」の広告料金と実際の請求額が大きく食い違う相談が多いと伝えています。基本料金のほかに、人件費や廃棄費用の名目で追加料金を求められる例もあります。

見積もりの段階で、次の4点を書面に書いてもらってください。

  • 追加料金が出る条件(階段作業、エレベーターなし、荷物量の超過など)
  • 作業内容と料金の内訳
  • キャンセル料の有無と発生する時期
  • 買取品がある場合の値引き方法

エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機は家電リサイクル法の対象です。回収の方法と料金は、見積もりに含まれているか確かめます。

トラブルの内容と相談先は、遺品整理のトラブル事例と防ぎ方で詳しく扱っています。

複数社の見積もりを一度に集めたい方は、一括見積もりを使うと現地訪問の予定を組みやすくなります。

解体業者は、どの許可や登録を確認すればよいですか?

建物を壊して更地にする場合は、解体業者に頼みます。国土交通省の建設リサイクル法Q&Aでは、解体工事を受注する業者に、土木・建築・とび・土工のいずれかの建設業許可、または解体工事業者の登録が必要とされています。登録は、営業する区域を管轄する都道府県知事に行います。

契約の前に、業者に許可番号か登録番号を聞いてください。解体の見積もりでは、次の項目が一式になっていないかを見ます。

  • 家財の残置物を撤去する費用が含まれているか
  • 廃材の処分費が含まれているか
  • 隣家への養生や近隣あいさつの費用が含まれているか

家財が残ったまま解体を頼むと、撤去費が上乗せされることがあります。片付けを先に終えてから見積もりを取ると、内訳を比べやすくなります。坪単価の目安と補助金は実家の解体費用と補助金で確かめられます。

売却と相続登記は、誰にどう頼めばよいですか?

建物を残して売る場合も、解体して売る場合も、窓口は不動産会社です。名義が亡くなった方のままなら、司法書士への相談が必要になります。

不動産会社は、仲介と買取のどちらに頼みますか?

仲介は、不動産会社が買主を探し、売買の成立を手伝う方法です。買取は、不動産会社が直接買い取る方法です。

買取は買主探しが要らないぶん、手放すまでが早い方法です。仲介は買主が決まるまで時間がかかります。急いで手放したいか、時間をかけても価格を重視するかで選んでください。

どちらにも決めきれないうちは、複数の不動産会社に査定を頼み、仲介と買取の両方の金額を出してもらうと比べられます。古家付きで売るか、解体して売るかも、査定の段階で相談できます。

司法書士には、何を頼みますか?

実家の名義が亡くなった親のままだと、売却の手続きが進みにくくなります。相続登記の申請は、司法書士に代行してもらえます。報酬は事務所ごとに違うため、依頼前に見積もりを出してもらってください。

相続人が複数いる場合の売却代金の分け方は、税務の扱いが変わることがあります。個別の判断は、税務署や税理士に確認してください。売却までの流れは実家じまいと空き家売却の関係にまとめています。

実家じまいの業者費用は、見積書のどこで差が出ますか?

業者の費用は、会社ごとの単価の違いよりも、見積書に何が含まれているかで差が出ます。総額だけを並べず、内訳を同じ項目にそろえて比べてください。

  • 片付け:作業人数、トラックの台数、処分費、買取による値引き
  • 解体:本体工事費、残置物の撤去費、廃材の処分費、養生費
  • 売却:仲介手数料、登記の報酬、測量や境界確認の費用

金額は、建物の構造や荷物の量によって大きく変わります。目安の数字と読み方は費用の内訳の記事で整理しています。

最初から全工程を同時に頼むと、比べる材料が増えて判断が難しくなります。先に片付けの業者を決め、荷物が片付いてから、解体と売却の見積もりを取る順番が進めやすい方法です。進め方で後悔しやすい点は実家じまいで後悔しやすい5つのことにあります。

急いで空き家を手放したい方は、買取と解体を同時に相談できる不動産会社から。時間に余裕がある方は、片付け業者の現地見積もりを3社そろえるところから始めてください。

よくある質問

遺品整理業者と不用品回収業者は、何が違いますか?

遺品整理業者は、遺品の仕分けから搬出までを担います。不用品回収業者は、不要な物の回収が中心です。どちらも、家庭の家財を回収するには市区町村の一般廃棄物の許可、または許可業者との連携が必要です。名称ではなく、許可の有無で選んでください。

全部を一社にまとめて頼むほうがよいですか?

窓口が一つになる点は手間が減ります。ただし、片付け・解体・売却は必要な許可が別々です。まとめて頼む場合は、各工程を担当する会社と、その会社の許可や登録を見積書で確かめてください。

見積もりだけ頼むと、断りにくくなりませんか?

見積もりは、契約と別のものです。断る場合は、他社と比べて検討すると伝えれば十分です。その場の契約を強く迫られたら、国民生活センターが案内する消費者ホットライン「188」で相談できます。


本記事に記載の費用相場は、2026年10月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、実際の金額は事業者・自治体・不動産の状況によって異なります。個別の法律判断や税務判断が必要な場合は、自治体の窓口や弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。