戒名はいらない、直葬だから戒名なしで見送りたい。そう考える方に向けて、戒名がなくて困る場面と困らない場面を分けて整理しました。火葬と埋葬を定める墓地埋葬法に、戒名を義務づける条文は見当たりません。困りやすいのは菩提寺の墓への納骨で、散骨や公営霊園、宗派を問わない樹木葬や永代供養墓なら進めやすくなります。納骨先を決めてから、戒名の要否を確かめてください。

戒名は法律で付けなければならないものですか

火葬や埋葬について、法律が求めているのは役所の許可です。墓地、埋葬等に関する法律の第5条は、埋葬・火葬・改葬を行う人に市町村長の許可を求めています。e-Gov法令検索の条文に「戒名」の語は出てこず、戒名を付けることを義務づける規定は見当たりません。

戒名を付けるかどうかを左右するのは、法律ではなく、宗教上の慣習と寺院・墓地ごとの決まりです。ミツモアは、仏式の葬儀では戒名を授かるのが通例だと説明しています。菩提寺がある場合は、別の方法をとる前に事前に相談して同意を得るよう勧めています。

最初に確かめるのは、先祖代々のお墓が寺院の境内にあるかどうかです。ある場合は、戒名なしを決める前に菩提寺へ相談してください。

戒名なしだと困りやすいのは、どの場面ですか

困りやすい場面は三つに絞れます。どれも「納骨先」と「家族」が関わる場面です。

菩提寺の墓へ納骨するとき

寺院墓地は、寺院のルールに従う場所です。Treeは、戒名を付けない場合は菩提寺の墓に入れないケースがあると説明し、事前に菩提寺や家族と相談するよう勧めています。

直葬で見送った場合も同じです。火葬の形が簡素でも、納骨先が菩提寺の墓であれば、戒名の扱いは寺院が決めます。

別の寺や業者で先に戒名を授かるのも避けてください。Treeは、菩提寺に相談せず戒名を用意すると、納骨や法要への協力を得られなくなる場合があると注意しています。

位牌と墓石に刻む名前を決めるとき

俗名だけの位牌をつくることは、技術的には可能とされています。Treeは、今後の法要や納骨に支障がないかを確かめてから決めるよう勧めています。

位牌をつくる場合は、将来の手放し方も見ておくと迷いません。処分の流れと費用は位牌の処分方法と費用|閉眼供養・お焚き上げの流れで整理しています。

墓石への刻字は、石材店へ依頼する前に、墓地の管理者へ刻む名前の扱いを聞いてください。これは公式の明文ではなく実務上の助言です。墓地の規則で決まっている場合があります。

親族の理解を得るとき

戒名を大切に考える親族がいると、葬儀のあとに意見が出ることがあります。これも実務上の助言です。戒名なしにする理由を、葬儀の前に家族へ伝えておくと、後からの行き違いを避けられます。

菩提寺があるご家庭では、親族も交えて寺院に相談する形が進めやすくなります。

戒名なしでも進めやすいのは、どの場面ですか

納骨先が寺院墓地でなければ、戒名の条件が関わらない場面が増えます。

シンボルツリーの根元に小さな石のプレートが並ぶ樹木葬の墓地

散骨

散骨は、遺骨を寺院墓地へ納めない供養の形です。そのため、納骨先の戒名の決まりは関わりません。費用と流れは海洋散骨の費用相場を3方式で比較で確認できます。

公営霊園

ミツモアは、公営の墓地や民間霊園に納骨する場合は、戒名を付けなくてもよいとしています。公営霊園は、使用者の募集時期や申込資格が自治体ごとに違います。希望する霊園の募集案内を確かめてください。

宗教不問の樹木葬・永代供養墓

Treeの樹木葬ガイドは、民間霊園には宗旨宗派不問のプランが多いと説明しています。公園型・庭園型は無宗派対応が一般的とされています。

一方で、寺院が運営する樹木葬には、宗派の指定があるケースもあります。同じ樹木葬でも運営母体で条件が変わるため、契約前に「戒名や宗派の条件はあるか」と一言聞いてください。永代供養墓も、運営母体ごとに確認が必要です。

戒名を付けずに納骨先を探すなら、樹木葬と散骨が選択肢の中心です。樹木葬の区画の種類と金額は樹木葬の費用相場をタイプ別に解説に、直葬から散骨へ進める流れは直葬と散骨の総額と流れにまとめています。

戒名をいただく場合、お布施はいくらが目安ですか

戒名を授かる場合のお布施は、位号によって幅があります。次の表は、2026年10月27日に確認した2ページの掲載値です。

位号ミツモア行政書士法人Tree
信士・信女30万〜50万円15万〜50万円
居士・大姉50万〜80万円50万〜80万円
院信士・院信女70万円以上50万〜100万円
院居士・院大姉100万円以上100万〜300万円

同じ位号でも、2ページの下限は最大で15万円違います。Treeは、金額は寺院・地域・宗派で変わるあくまで目安としています。ミツモアは、位号は遺族が自由に選べず、宗派や寺院への貢献度などで決まるとしています。

お布施は、商品の代金のように定価がつくものではありません。授かる前に菩提寺へ「お布施の目安をうかがえますか」と聞くのが、確かな方法です。

戒名を付けない場合は、この授与料が発生しません。ただし、納骨や法要で僧侶を頼む場合のお布施は別に必要です。

浄土真宗では戒名ではなく法名と呼ぶのですか

浄土真宗では、戒名とは呼びません。本願寺派の公式Q&Aは、戒名は自力の修行を目指して戒を受けた人に授ける名前であり、自力修行をしない浄土真宗にはそぐわないと説明しています。

浄土真宗の名前は「法名」です。本願寺派では、帰敬式(おかみそり)を受けた人に、本願寺住職から授けられるとされています。

Treeによると、法名は院号・釋号・法号で構成され、居士・大姉などの位号は使いません。位の違いは院号の有無だけです。原則として位牌をつくらず、過去帳や法名軸を使う点も、他の宗派との違いです。

金額の例は、ページによって項目が異なります。ミツモアは釋・釋尼で20万円以上、院釋・院釋尼で50万円以上と記載しています。Treeは、本願寺派と大谷派の帰敬式で、釋○○に5,000〜1万円を挙げています。

浄土真宗のご家庭は、法名を生前に授かるのか、葬儀の際に授かるのかを、所属する寺院へ聞いてください。

戒名なしで進める前に、誰へ何を聞けばよいですか

確認の順番を決めておくと、葬儀の打ち合わせが短くなります。

  1. 菩提寺や先祖代々の墓が寺院にあるか、家族に聞く
  2. ある場合は、戒名なしでの納骨が可能かを菩提寺へ相談する
  3. 納骨先が未定なら、散骨・公営霊園・樹木葬の条件を比べる
  4. 戒名を授かる場合は、お布施の目安を事前に聞く

状況別の次の一歩は、次のとおりです。

  • 菩提寺の墓へ納めたい方は、戒名なしでの納骨を、葬儀の前に寺院へ相談
  • 寺院にとらわれず納骨先を選びたい方は、樹木葬と散骨の資料で費用を比較
  • 浄土真宗の方は、所属寺院に法名の授かり方を確認

よくある質問

直葬で戒名なしにしても、あとから戒名を授かれますか

対応は寺院によって異なります。授与の可否と費用は寺院が決めるため、納骨や法要に合わせて授かりたいときは、菩提寺に相談してください。

戒名なしで菩提寺の墓に納骨できますか

寺院によって異なります。Treeは、戒名を付けない場合に菩提寺の墓へ入れないケースがあると説明しています。葬儀の前に、菩提寺へ可否を聞いてください。

生前に自分で戒名を決めておけますか

菩提寺がある場合は、先に寺院へ相談してください。ミツモアは、位号は遺族が自由に選べず、宗派や寺院への貢献度などで決まるとしています。


本記事に記載の費用相場は、2026年10月時点で公開されている情報をもとにした目安であり、実際の金額は寺院・墓地・事業者によって異なります。個別の法律判断や税務判断が必要な場合は、自治体の窓口や弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。